いらすとやの奇妙な冒険 第1話
いらすとや Advent Calendar 2015 7日目
美女の返り血はこの石仮面にある無数の細かいヒビに吸い込まれていく!
仮面は生き血を吸って動き出したッ!
侵略者ディオの巻
『おぉお~ん』
実にッ!
実に奇怪だった!
男は死なない!
どのような仕掛けになっているのかこの石仮面から飛び出た数本の骨針に頭をさされているのに!
『そして!この石仮面から真の支配者の力を手に入れたぞ!』
バゴォ
西暦12世紀から16世紀にかけメキシコ中央高原に強大で勇猛な王国があった!
国家的規模のすさまじい生贄と人肉喰いの儀式が伴うこの文化!
そしてその中にこの「石仮面」の能力で世界に君臨しようとする野望をもつ一部族がいた!
「石仮面」は彼らに伝わる奇跡!永遠の生命と真の支配者の力をもたらす!
しかし!ある時その部族は目的をとげずこつ然と歴史から姿を消す!
無人の廃墟を残して!
なぜなのか!?どこへ行ったのか!
謎のすべてはこの「石仮面」にある!
この物語はメキシコから発掘された謎の「石仮面」にまつわる2人の少年の数奇な運命を追う冒険譚である!
第1部ジョナサン・ジョースター その青春
聞こえねえのか…ディオ…
ディオ……ゴホッ…ゴホッ!ゴホゴホゴホ
ここへ来いディオ!
聞こえねぇのかァ…ディオ
ゴホゴホゴホゴホ
なんだい父さん薬かい?
い いいや薬はいらねえ……
ディオ!ちょいとここへ来い話がある
死んだあとの気がかりはひとり息子のおめぇだけだ
………いいかディオ
ゴホ!おれが死んだらこの手紙を出してこの宛名の人の所へ行け!
こいつはおれに恩がある……
きっとおまえの生活の面倒を見てくれる
学校へも行かせてくれるだろう!
そう…12年前
あれは1868年の雨の日だった
こんな話息子のディオには話せねえがよォ……
ウヘヘヘヘヘヘヘヘ
おい見ろよッ!
事故だぜッ!
ちょっとォだんな!
あたしゃかかわりあいはゴメンだよォ
うるせェッ!金持ちの馬車だぜ
……貴族だッ!
ひでェーッ
……こっちのやつも即死だな
だんなァ!馬車の中
女は死んでるけど赤んぼうが生きてるよッ
子供をかばったんだねこの人…
な……何すんのさ?
決まってんだろ!マヌケーーッ
カネ目の物をいただくッ!
ある人間の不幸ってのはある人間を幸福にする
ウワッハハハハーーッ
そ……それもそうね!
あんた賢いわぁ!
なんだこれは?
き……気味の悪い仮面だ
こ…こいつはいらねェな!
おい……
こいつの口を開けるの手伝え!
前歯をひっこ抜こう!
歯医者に持って行くと差し歯用に高く売れんだ
あ……あんた
どうせ歯を買えるのは貴族だしこいつも貴族だ!何が悪いんだ!
どヒェエエエ~~っ
こ……こいつ生きてるゥ!
き……君が
介抱してくれたのかありがとう
妻!……妻は
妻と息子は…どうした?
ふたりは……無事か?
くたば……
……いやご婦人と御者はすでに亡くなっておりました
で……でも赤ちゃんは無事です
妻のかわりにわたしが死ねばよかったのに
……でも息子は無事……
これも運命か
礼をさしあげようと思ったが
あなたが来る前に誰かに財布や指輪を盗られたらしい……
わたしの名はジョースター
命を救ってくれた礼をしたい
また気を失う前にあなたの名を聞かせてほしい
このジョースター決して恩を忘れはしまい
このバカめ!……ケケケ!
名のって損はなかろう!
名のるほどの者じゃあありやせんがブランドーといいやす
あの後ー
さらにジョースター卿からもらった多額の礼金で酒場を始めたが
ツキに見放され女房が死に店はつぶれ
病気になってこのざまだ--チクショウ!
ディオッ!
おれが死んだらジョースター家に行けッ
お前は頭がいいっ!!
誰にも負けねぇ一番の金持ちになれよッ
醜くってズル賢くって
母に苦労をかけて死なせ最低の父親だったぜ!
一番の金持ちになれだと?
ああ!なってやるとも!
おまえの「遺産」受けとるぜ!
ひとりでも生きられるが利用できるものはなんでも利用してやる!
だからこのジョースターとかいう貴族を利用してだれにも負けない男になるッ!
19世紀!
それは産業と貿易の発展が人びとの思想と生活を変えた時代だッ!
依然!食糧不足や貧富の差が激しいにもかかわらず
大人も子供も「自分もいつか金持ちと同じようなくらしができるッ」
このような幻想をいだいていたッ!
それは嵐のようなすさまじい渇きだったッ!
イエー!
かえしてッ!かえしてッ!
手がとれるゥ!!
おいエリナ!この人形買ってもらったのか!
おまえの親父ヤブ医者のくせにもうけてっからなッ!
よし!人形の服をぬがせてやるぜッ!
あそこが本物と同じかどうか見てやるッ!
わーっエリナエリナ!
泣き虫エリナッ
なんだ!?おまえ!
エリナの知り合いかッ!?
知らない子だがぼくには戦う理由があるッ
ドッカァァ~ン
こ この野郎ッ
女の子の前だからってカッコつけるヤツ
おれ こーゆーヤツは大嫌いだッ!
やっつけてやるッ
おやァ なんでェ~
こいつてんで弱いぞッ!
うう~
ギャハハハハハ
これ以上みじめなことがあろーか!
助けに入って逆にやられてやがる
おいッ こいつ誰か知ってるか?
知らないね!
まさかジョースター家のひとり息子じゃあねえだろーな!!
おれは金持ちが嫌いだッ!
恨みはねーがとにかく嫌いだッ!
もしあそこのジョースター家のヤツだったらもっとこっぴどくブチのめしたるッ!
あっ!!
こいつッ
やっぱりジョースター家のひとり息子だッ!
この野郎!お高くとまるんじゃあねェーぜ!
思い知れ!
ふん!金持ちはてめーの敷地内だけで遊びやがれ!
行こーぜ!
いいからほっといて!
向こうへ行けよッ
ぼくは君に感謝されたくってあいつらに向かっていったんじゃあないぞッ!
ぼくは本当の紳士をめざしているからだ!
君が女の子で困っていたからだ!
相手が大きいヤツだからって負けるとわかってるからって
紳士は勇気を持って戦わなくてはならない時があるからだぞッ!!
でもいつか勝てるようになってやる!
でもなんだってこのハンカチをポケットから出したの?
名前をわざわざ見せなければあんなに殴られなかったのに
きっと--
これも彼の言う本当の「紳士」になるために必要なことなのね……
ガガッ
ハッ!
そうだ…ディオ!
この子の名はディオ・ブランドーだ!
父さんの命の恩人が亡くなられたので
父さんがその息子をひきとり
ジョースター家で生活することになった…
ぼくと同い年の男の子だ!
君はディオ・ブランドーだね?
そういう君はジョナサン・ジョースター
みんなジョジョって呼んでるよ…
これからよろしく
ダニーーッ
紹介するよダニーってんだ!
ぼくの愛犬でね
利口な猟犬なんだ
心配ないよ!
決して人は噛まないから
すぐ仲よしになれるさッ
こいつがジョースター家の跡継ぎ
ひとり息子のジョジョか!
こいつを精神的にとことん追いつめ
ゆくゆくはかわりにこのディオがジョースター家の財産をのっとってやる!
おわり