builderscon tokyo 2018 参加録
builderscon tokyo 2018に行ってきました。 大規模な技術カンファレンスへの参加って実は初めてだったのですが、とても楽しめました。
今回は、
- 自分も発表することができそうか、やるならどんな内容がいいか
- 数か月後に自分がスタッフをするカンファレンス(VimConf 2018)があるので、その参考にできるものがあるか
の2点を心に留めつつ各発表を聞きました。
Steamゲーマーにとって衝撃的なオープニング
まずはオープニングセッション。 主催の人が会場の諸注意とか話すのかなと思ったら、ムービーが流れだしました。
動画作るのめっちゃ大変でしょ・・・ これだけでも半端な気合ではないなと圧倒されたのですが、これがなんとThe Stanley Parableっていうゲームネタなんです。
オープニングがStanley Parableパロディ #builderscon
— 特性のないりんご (@aomoriringo) 2018年9月7日
わかってくれた!!!!俺のカンファレンスは成功だ! #builderscon https://t.co/yjc4tx3u6R
— Daisuke Maki (anovaさん) (@lestrrat) 2018年9月7日
声もめっちゃ似てますね!!w
— 特性のないりんご (@aomoriringo) 2018年9月7日
本人です!!!!
— Daisuke Maki (anovaさん) (@lestrrat) 2018年9月7日
いち早くツイートしたら声優もThe Stanley Parableで演じてる人本人だって言うし、もう頭のネジいきなりぶっ飛んでない?何このカンファレンス?って感じでした。
特に楽しめた発表
1日目/2日目はなるべく休憩なしでセッションを聞きました。 その中でも、特に心に残ったものをいくつか紹介します。
証券トレーディング業務におけるExcel依存を脱却するプロジェクトで直面した技術的選択とプロジェクト運営の失敗
今回の全セッション中でも、とびぬけて「闇度」が高かった発表ではないでしょうか。 写真撮影は禁止、動画公開もなしのセッションでした。
タイトルに「Excel」とありますが、Excelのつらみというより完全なる上意下達組織に振り回される開発現場の苦悩、という趣の発表でした。
こうやって書いてるだけでも数え役満という感じで、涙なしには聞けない発表です・・・
私自身、受託でExcelを扱う運用の自動化プロジェクトをいくつか担当したことがあるのですが、Excelはプログラムを知らない一般の人にとっても浸透しているので、入力インターフェースとして超優秀なんですよね。「ちょっと凝ったことをやりたい」と思ったらだいたいなんとかなってしまうし、「Excelライク」なものに置き換える、というのは大抵破たんするというのは肌感覚としてあります。 また、受託でなく社内内製であったという点もよりつらみを増進させたのではないかと思います。社内の方がより無理があることを言えてしまいますからね・・・
このようなつらいプロジェクトの話を、勇気を持って発表してくれたことに感謝です。
質問タイムでは、敬意の念を込めて「地獄オブザイヤーですね」とコメントさせていただきました。
本発表について、上記のツイートがとてもよくまとまっていてよかったです。証券トレーディング業務とエクセルの話アンチパターンのお手本オンパレードな激ヤバプロジェクトで辛すぎかなり泣けた #builderscon pic.twitter.com/FlHqZp8x95
— ささ (@3neko_haco) 2018年9月8日
つらくないマルチテナンシーを求めて: 全て見せます! SmartHR データベース移行プロジェクトの裏側
発表者のぷりんたいさんとは、ISUCONにも一緒に出たりしている友人なのですが、知り合いであるということを完全に差し引いてとても良い発表であったと感じました。
発表の本筋はデプロイ時間の増加問題を解決するためのデータベース移行、という極めて技術的な内容でありながら、その合間合間に適切に自社サービスの事情や文脈が差し込まれて、体験共有型の発表としては理想的な形だったのではないかと思います。
自分は今はプログラマではなくマネージャとして働いているので、技術的な部分よりも、その周りのサポート、組織的な判断の部分がすごいと思いました。
データベースの移行のために数ヶ月の時間を1人に割り当てたり、1ヶ月間システム全体のコードフリーズをする、という決断はわかっていてもなかなかできるものではありません。
もし「直接的にはユーザの価値につながるものではない!そのリソースを機能開発に充てるべき!」という主張を声高にする人がいて、その人を説得できなければ終わりです。この判断ができず緩やかに死んでいくサービスは多そう。このあたりにSmartHRという組織の強さを垣間見ました。
Webサービスにて200週連続で新機能をリリースする舞台裏
実はこの発表では生では聞くことができなかったんですが、一緒に行った同僚がslackで実況していて、あとから聴けなかったことを心底後悔しました。 私が所属している会社では今クラウドサービスを開発していて、昨年10月ぐらいから僕がプロジェクトマネージャをやっています。マネージャになるにあたってまずはスクラムの体制を作ったのですが、その時ひとつの完成形として脳内にあったのがMackerelというサービスでした。
毎週とまではいかなくても、早いペースで機能追加・改善を行い、それをブログなどわかりやすい形でアピールする。サービスそのものだけでなく、改善に対する姿勢を顧客に対してアピールできる状況を作りあげる。今はある程度形になってきて、かなりの部分をパクらせて頂きました・・・はてなさんには頭があがりません。
スクラムを作るにあたって、弊社の場合は既存のインフラ的な足回りとか監視の仕組み、運用ポリシーとかがとにかく何もなかったので、自分が今後カンファレンス等で発表できるとしたらそのあたりについて、かなあ・・・とか思ったり。
カンファレンス全体について
どうしてもワクワクしてしまう電子名札
もうこれについては何も言うまい。ガジェット、楽しいね・・・
会社ロゴを表示してみる。エモい。
Twitterアイコンに使っているlainを表示してみる。激エモ。
マルチセッションのキャパシティ問題
buildersconは、5つのセッションが並行して開催される形でした。
人気のセッションがどうしても偏ってしまい、ある部屋が早々に満員になってしまって入場できなくなる、という状況が何度かあり、この点は残念でしたね。 特にランチセッションは1箇所のみの開催なので、セッション前に部屋の前に長蛇の列ができてしまっていたり。
今回のbuildersconは、全部で約1000人ほどの参加者があったと聞きました。各セッション部屋のキャパシティを合計したものを全体キャパシティとすると当然満員になるセッションはでてきてしまうけど、かと言って全体キャパシティをあまりに少なくすると閑散としたセッションがでてきてしまうのも寂しいし・・・難しいですねえ。
参加を終えて
2日間ぶっ続けで様々な発表を聞くのはとにかく疲れた!ただ発表を聞いているだけのはずなのに筋肉痛はすごいし眠いしでくったくたです。運営スタッフ、発表者の方々お疲れ様でした。個人として楽しかったし、会社の人間としても得るところが多かったと思います。 (今回の参加費は会社が出してくれました)
さて、最初に挙げた、参加するにあたって心に留めた2点に思いを馳せてみます。
自分も発表することができそうか、やるならどんな内容がいいか
上でも書きましたが、今はプログラマではなくてマネージャとして働いているので、発表するならやはりそのあたりのことを話したいなあ。今はメンバーに助けられている部分も多いのだけど、うまくできているところもそれなりにあると思っているので、その辺アピールしたいです。
で、そもそも「発表することができそうか」という点なんですが、気合でCFPを出したら、あとは野となれ山となれって風に身をゆだねちゃえばいいんじゃないかなって思いました。 自分も今VimConfスタッフでCFP審査などに関わったのでよくわかるのですが、CFPに通ったんならそのCFPの内容を全力で発表すれば良いんですよ・・・だからCFPを出すまで頑張ろうと思います。みんなもCFP出そう。俺をひとりぼっちにしないでくれ。
VimConfに向けて参考にできるものがあるか
カンファレンスとしての全体の基礎的な構成の他に、buildersconには参加者を楽しませたいというホスピタリティが溢れていたのが印象的でした。 オープニングムービーにはじまり、電子名札、フォトブース、休憩中に流れるスポンサームービーなど、愉しめる仕掛けがたくさんありました。
VimConfは正直buildersconほどはスタッフがいないので、単純に比べることはできませんが、なんか面白いことをねじ込めたらいいなと思いますね。
そんなVimConfの一般チケット販売は9月17日です。今年はBram来日ということもあり、エポックメイキングな会になることが予想されます。前売りチケットは30分で売り切れてしまいました。みなさんぜひお越しを。
それから、VimConfには弊社(fixpoint)もスポンサードしてます。重ね重ねよろしく。
buildersconのレポート記事のはずが、VimConfと会社を気にするあまり、その話ばっかりになってしまった。