builderscon tokyo 2018に行ってきました。
大規模な技術カンファレンスへの参加って実は初めてだったのですが、とても楽しめました。
今回は、
自分も発表することができそうか、やるならどんな内容がいいか
数か月後に自分がスタッフをするカンファレンス(VimConf 2018)があるので、その参考にできるものがあるか
の2点を心に留めつつ各発表を聞きました。
Steamゲーマーにとって衝撃的なオープニング
VIDEO www.youtube.com
まずはオープニングセッション。
主催の人が会場の諸注意とか話すのかなと思ったら、ムービーが流れだしました。
動画作るのめっちゃ大変でしょ・・・
これだけでも半端な気合ではないなと圧倒されたのですが、これがなんとThe Stanley Parableっていうゲームネタなんです。
いち早くツイートしたら声優もThe Stanley Parableで演じてる人本人だって言うし、もう頭のネジいきなりぶっ飛んでない?何このカンファレンス?って感じでした。
特に楽しめた発表
1日目/2日目はなるべく休憩なしでセッションを聞きました。
その中でも、特に心に残ったものをいくつか紹介します。
証券トレーディング業務におけるExcel 依存を脱却するプロジェクトで直面した技術的選択とプロジェクト運営の失敗
今回の全セッション中でも、とびぬけて「闇度」が高かった発表ではないでしょうか。
写真撮影は禁止、動画公開もなしのセッションでした。
タイトルに「Excel 」とありますが、Excel のつらみというより完全なる上意下達組織に振り回される開発現場の苦悩、という趣の発表でした。
たくさんのExcel を手動で1つのExcel にマージしてある顧客に送る業務、これが毎日ある
世界各国のトレーダーがExcel でデータを入力して送ってくる
日本のトレーダーが1つのExcel にまとめて顧客に送付
送付先は超重要顧客であり、少しのミスも許されない
突如IT部門上層部から飛び込んでくる横槍
結果大失敗
Excel 社内フレームワーク には数式がなかったり、キーボードショートカットが違ったりした
世界各国のトレーダーが新しい機能を使ってくれず、新旧のデータフローが混在
ミスが多発、結果ビジネス担当3人クビ
こうやって書いてるだけでも数え役満 という感じで、涙なしには聞けない発表です・・・
私自身、受託でExcel を扱う運用の自動化プロジェクトをいくつか担当したことがあるのですが、Excel はプログラムを知らない一般の人にとっても浸透しているので、入力インターフェースとして超優秀なんですよね。「ちょっと凝ったことをやりたい」と思ったらだいたいなんとかなってしまうし、「Excel ライク」なものに置き換える、というのは大抵破たんするというのは肌感覚としてあります。
また、受託でなく社内内製であったという点もよりつらみを増進させたのではないかと思います。社内の方がより無理があることを言えてしまいますからね・・・
このようなつらいプロジェクトの話を、勇気を持って発表してくれたことに感謝です。
質問タイムでは、敬意の念を込めて「地獄オブザイヤーですね」とコメントさせていただきました。
本発表について、上記のツイートがとてもよくまとまっていてよかったです。
つらくないマルチテナンシーを求めて: 全て見せます! SmartHR データベース移行プロジェクトの裏側
speakerdeck.com
発表者のぷりんたいさんとは、ISUCONにも一緒に出たりしている友人なのですが、知り合いであるということを完全に差し引いてとても良い発表であったと感じました。
発表の本筋はデプロイ時間の増加問題を解決するためのデータベース移行、という極めて技術的な内容でありながら、その合間合間に適切に自社サービスの事情や文脈が差し込まれて、体験共有型の発表としては理想的な形だったのではないかと思います。
自分は今はプログラマ ではなくマネージャとして働いているので、技術的な部分よりも、その周りのサポート、組織的な判断の部分がすごいと思いました。
データベースの移行のために数ヶ月の時間を1人に割り当てたり、1ヶ月間システム全体のコードフリーズをする、という決断はわかっていてもなかなかできるものではありません。
もし「直接的にはユーザの価値につながるものではない!そのリソースを機能開発に充てるべき!」という主張を声高にする人がいて、その人を説得できなければ終わりです。この判断ができず緩やかに死んでいくサービスは多そう。このあたりにSmartHRという組織の強さを垣間見ました。
Webサービス にて200週連続で新機能をリリースする舞台裏
speakerdeck.com
実はこの発表では生では聞くことができなかったんですが、一緒に行った同僚がslackで実況していて、あとから聴けなかったことを心底後悔しました。
私が所属している会社では今クラウド サービスを開発していて、昨年10月ぐらいから僕がプロジェクトマネージャをやっています。マネージャになるにあたってまずはスクラム の体制を作ったのですが、その時ひとつの完成形として脳内にあったのがMackerelというサービスでした。
毎週とまではいかなくても、早いペースで機能追加・改善を行い、それをブログなどわかりやすい形でアピールする。サービスそのものだけでなく、改善に対する姿勢を顧客に対してアピールできる状況を作りあげる。今はある程度形になってきて、かなりの部分をパクらせて頂きました・・・ はてな さんには頭があがりません。
スクラム を作るにあたって、弊社の場合は既存のインフラ的な足回りとか監視の仕組み、運用ポリシーとかがとにかく何もなかったので、自分が今後カンファレンス等で発表できるとしたらそのあたりについて、かなあ・・・とか思ったり。
カンファレンス全体について
どうしてもワクワクしてしまう電子名札
もうこれについては何も言うまい。ガジェット、楽しいね・・・
会社ロゴを表示してみる。エモい。
Twitter アイコンに使っているlain を表示してみる。激エモ。
buildersconは、5つのセッションが並行して開催される形でした。
人気のセッションがどうしても偏ってしまい、ある部屋が早々に満員になってしまって入場できなくなる、という状況が何度かあり、この点は残念でしたね。
特にランチセッションは1箇所のみの開催なので、セッション前に部屋の前に長蛇の列ができてしまっていたり。
今回のbuildersconは、全部で約1000人ほどの参加者があったと聞きました。各セッション部屋のキャパシティを合計したものを全体キャパシティとすると当然満員になるセッションはでてきてしまうけど、かと言って全体キャパシティをあまりに少なくすると閑散としたセッションがでてきてしまうのも寂しいし・・・難しいですねえ。
参加を終えて
2日間ぶっ続けで様々な発表を聞くのはとにかく疲れた!ただ発表を聞いているだけのはずなのに筋肉痛はすごいし眠いしでくったくたです。運営スタッフ、発表者の方々お疲れ様でした。個人として楽しかったし、会社の人間としても得るところが多かったと思います。 (今回の参加費は会社が出してくれました)
さて、最初に挙げた、参加するにあたって心に留めた2点に思いを馳せてみます。
自分も発表することができそうか、やるならどんな内容がいいか
上でも書きましたが、今はプログラマ ではなくてマネージャとして働いているので、発表するならやはりそのあたりのことを話したいなあ。今はメンバーに助けられている部分も多いのだけど、うまくできているところもそれなりにあると思っているので、その辺アピールしたいです。
で、そもそも「発表することができそうか」という点なんですが、気合でCFPを出したら、あとは野となれ山となれって風に身をゆだねちゃえばいいんじゃないかなって思いました。
自分も今VimConfスタッフでCFP審査などに関わったのでよくわかるのですが、CFPに通ったんならそのCFPの内容を全力で発表すれば良いんですよ・・・だからCFPを出すまで頑張ろうと思います。みんなもCFP出そう。俺をひとりぼっちにしないでくれ。
VimConfに向けて参考にできるものがあるか
カンファレンスとしての全体の基礎的な構成の他に、buildersconには参加者を楽しませたいというホスピタリティが溢れていたのが印象的でした。
オープニングムービーにはじまり、電子名札、フォトブース、休憩中に流れるスポンサームービーなど、愉しめる仕掛けがたくさんありました。
VimConfは正直buildersconほどはスタッフがいないので、単純に比べることはできませんが、なんか面白いことをねじ込めたらいいなと思いますね。
そんなVimConfの一般チケット販売は9月17日 です。今年はBram来日ということもあり、エポックメイキングな会になることが予想されます。前売りチケットは30分で売り切れてしまいました。みなさんぜひお越しを。
それから、VimConfには弊社(fixpoint)もスポンサードしてます。重ね重ねよろしく。
buildersconのレポート記事のはずが、VimConfと会社を気にするあまり、その話ばっかりになってしまった。