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チューリング不完全

What are you afraid of? All you have to do is try.

作業用BGM(現代音楽編)

この記事は作業用BGM Advent Calendar 2015 15日目の記事です。

普段は現代音楽とテクノミュージックを中心に聞いています。
現代音楽が好きなのでたびたび人に薦めるのですが、その度にドン引きされてしまいます。
「作業用BGM Advent Calendar」というのを見つけたので、これを機に私の知っている現代音楽の紹介を記事として昇華させ、人にこのような市民権の得られない音楽を直接押し付ける衝動を抑えたいと思います。
hoge

うるさいやつ

G.リゲティ「100台のメトロノームのためのポエム・サンフォニック」(1962)


György Ligeti - Poema sinfónico para 100 Metrónomos ...

メトロノーム100台「のみ」が使用された音楽です。YouTubeのものは8分程度の動画ですが、フルだと20数分あります。
前半はとにかくガチャガチャといっているのですが、だんだんとテンポの速いメトロノームが止まっていくと、個々のメトロノームの音がはっきりと聞こえてくるようになります。
ライヒのドラミングなどで使われているリズムを少しずつずらしていく手法、「漸次的位相変異プロセス」のよりプリミティブな形ですね。

K.シュトックハウゼン「ヘリコプター弦楽四重奏曲」(1993)


Helikopter-Streichquartett (Helicopter Quartet ...

正式タイトルは弦楽四重奏、4ヘリコプターとパイロットと4技師/4テレビジョン・トランスミッタ、4×3サウンド・トランスミッタ/段積みテレビ4組と段積みスピーカー4組を備えたオーディトリウム/サウンド・プロジェクショニストとミキシング・コンソール/司会者(任意)のための『ヘリコプター弦楽四重奏曲』」です。
カルテットの4人がそれぞれ4台のヘリコプターに乗り込み演奏します。ヘリコプターはコンサートホールの周りを旋回していて、観客は4人それぞれの演奏した音と映像の中継をホール内で聴きます。
映像では奏者がヘッドホンしていますが、これはお互いの音を聴いているのではなく「それぞれの小節の拍子をインパルス音で示してドイツ語で数える『クリック・トラック』」というものを聴いています。

個人的には人が叫びだすところらへんで「オッやばいな」という感じがします。

http://3.bp.blogspot.com/-yn2-xv3KMXw/U6OwHm96lxI/AAAAAAAAFag/lHc8B6kQPR0/s1600/DSCN2673.jpg
楽譜は4色に塗り分けられていて、これにも意味があります。
この曲は単独の作品ではなく、「光」という全部で7日間、28時間のオペラの一部です。スーパーフォルメルという1分程度の主題がオペラの様々な部分に展開されていて、ヘリコプター弦楽四重奏曲もそうらしいのですが、「光」の他の曲を聞いたことがないのでわからないです。
シュトックハウゼンの曲はとにかく金がかかるものが多くて、たしかCDも1枚20000円みたいな意味不明な値段がついていたと思うので買えませんでした。

K.シュトックハウゼン「天国への扉」(2005)


Heaven's Door Lugo - YouTube

「ヘリコプター弦楽四重奏曲」のところに補足的に付け加えるぐらいの気持ちでいたのですが、YouTubeで動画を見つけてしまったので貼っておきます。

打楽器奏者と一人の少女のために書かれており、「クラング」の中では例外的に演劇的な要素が加えられた作品である。演奏時間は約28分。
打楽器奏者が6つの板からなる扉を叩きまくる。床にも板が敷いてあり、奏者の足音によるリズムも加わって、リズムが次第に複雑になっていく。やがて扉が開かれると、演奏者がその中へと消えてゆき、今度はタムタムやシンバルなどの金属打楽器を演奏する。そこにサイレンの音も加わり、轟音が響くなか、客席に座っていた少女がステージに上がり、扉の中へ入ってゆく。打楽器とサイレンの音がフェード・アウトし、曲が閉じられる。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B0_(%E3%82%B7%E3%83%A5%E3%83%88%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%8F%E3%82%A6%E3%82%BC%E3%83%B3)#4.E6.99.82.E9.96.93.E7.9B.AE.E3.80.8C.E5.A4.A9.E5.9B.BD.E3.81.B8.E3.81.AE.E6.89.89_HIMMELS-T.C3.9CR.E3.80.8D.282005.29

この曲は音自体よりも、『サイレンの音も加わり、轟音が響くなか、客席に座っていた少女がステージに上がり、扉の中へ入ってゆく。打楽器とサイレンの音がフェード・アウトし、曲が閉じられる。』という曲解説の文章から想像される脳内イメージの方が面白いです。動画を見てみても特にここ面白くないんですが、字面で見た時の神秘性とか超然とした雰囲気がやばい。

「作業用BGM」の紹介のはずなのに曲よりも文章が面白いとかいって紹介するのどうなのというのがありますが、せっかく書いたので許して。

西村朗「2台のピアノと管弦楽のためのヘテロフォニー」(1987)

www.youtube.com

西村朗はとにかくこの曲ばかり聴いていますね。初聴だとおそらくピッコロあたりのとても高い音がぶつかりまくりながら上昇していく部分で厳しい気持ちになる方が多いと思いますが、慣れてくるとこの緊張感がたまらないんです。なんか麻薬やってる人みたいなこと書いてるな俺。
ちなみに西村朗は2015年、吹奏楽コンクールの課題曲のために「秘儀Ⅲ -旋回舞踊のためのヘテロフォニー」という作品を書いています。
「響け!ユーフォニウム」に曲名が出て勝手に盛り上がっていました。
http://livedoor.4.blogimg.jp/anico_bin/imgs/c/f/cf8fb607.jpg

矢代秋雄交響曲」(1958)

youtu.be
4楽章(23:20~)をよく聴いてます。私を現代音楽沼に引きずり込んだ元凶。
いまだに拍子がわからないです。5/8と7/8と11/8がまざっている。

三善晃「祝典序曲」(1970)

www.nicovideo.jp
22:40~27:15。タイトルはクラシック音楽にはありふれたものですが、はじめから異様なテンションで突っ走っています。
重要なのは、この曲は大阪万博の開会式のために書かれた曲なんですよね。これから夢のような万博が始まるぞ!って勢いの聴衆につきつけられるのがこれ。テンションが高いということだけは共通しているが、異常に禍々しい。
1970年の高度経済成長という時代背景などが関係しているのかどうかわからないですが、考えちゃいますね。これは誰にとっての「祝典」なんでしょうね。
三善晃は好きすぎて何挙げるか悩みました。他には「交響三章」「響紋」「魁響の譜」なども大好きです。


うるさい曲の紹介欲がだいぶ満たされたので、もっと作業用BGMとして受け入れられそうな曲についても書きます。

おだやかめなやつ

Steve Reich「Drumming」(1971)

www.youtube.com
おそらく今回のAdvent Calendar中で他の誰かが挙げることになると思いますが、私自身も大好きなのであまり気にせずに書きます。
Steve Reichという人は(本人は一度も言ったことがないはずですが)「ミニマル・ミュージック」というジャンルの大家です。同じリズムやフレーズを執拗に繰り返すというスタイルですね。(オスティナートと言ったりもする)
このドラミングはPart1~4が続けて演奏される曲で、それぞれPart1では膜鳴楽器(いわゆる太鼓)、Part2ではマリンバ+声、Part3ではグロッケンシュピール(鉄琴)+ピッコロというように、Partが進むにつれて使われる楽器の音が高くなっていきます。最後のPart4では全ての楽器が使われます。
「ドラミング」というタイトルの通り、曲中ではとにかく複数人が複雑に絡みあったリズムを鳴らし続けます。はまるとだんだんトランス状態になってきて作業が捗って仕方ない。
ライヒはこの他にも、ごく初期の「It's gonna rain」「Come out」「振り子の音楽」を除けばだいたい同じ作風で、不協和音が曲中に出てくることはほぼありません。安心して聞けると思います。

John Adams「Chairman Dances」(1985)

www.youtube.com

Steve Reichと似たものをもう1つ。動画のサムネイルで分かる人にはわかると思いますが、この曲は現代音楽家が発表した楽曲でありながら、「Civilization 4」というゲームのBGMとして採用されました。
John AdamsSteve Reichに比べれば作風が広いです。この曲が気に入った場合は、他に「China Gates」「Grand Pianola Music」などもおすすめです。

Morton Feldman「Palais de mari」(1986)

www.youtube.com
直訳だと「マリの宮殿」なのですが、日本での出版時に「廃墟の静寂」といういかす邦題が付けられました。
もうとにかく廃墟感がすごいです。日本の軍艦島や病院の廃墟というよりは海外のイメージがしますね。

三輪眞弘「愛の讃歌」(2007)

www.youtube.com

日本人が作ったガムラン音楽。ガムランで適当に探すと結構リズムが激しい物が多いんですが、この曲は終始瞑想的な雰囲気が漂います。
こういうの聴くとなぜか脳裏に小学生のときの記憶が。聖剣伝説2かな。
同じ作曲者の「鈴掛マタリ」も好き。

まとめ

こういうの聴きながらコード書いてます。
テクノ編は他の人がやると思いますが、もし僕がやるとしたらdub techno(not dubstep), tech dance, death technoあたりの紹介になると思います。